時間やカレンダー計算

複雑な問題でも解けるように指導する

きっかけ

 先日、小学5年生の甥から「勉強がわからない」との相談を受け、算数の悩みを聞いてあげました。塾には行きたくないけれど、低学年から順次復習をしたいとのことでした。最レベ(問題集)から数ページを私なりの解説を添えて渡しました。その後、最レベをお父さんに買ってもらいお母さんが付いて学習しているとのことです。
 相談を受けた際に何か一つでも自信を付けさせてあげたいと思い「日付や時間数の計算方法」をスカイプにてレクチャーしました。とりあえず下記の問題が解けるレベルになりました。そのときにちょっとしたコツを伝授しましたので、本稿でも後述いたします。

問題
  1. 1879年3月14日の午前2時53分に生まれ1955年4月18日午後8時12分に亡くなった人は、何時間何分生きていたことになりますか?
  2. この人が50歳になった日から数えて380日前の年月日を答えなさい。

※西暦年号が4で割り切れる年はうるう年(366日間 ※2月が29日まである)とする。

 文章的にはシンプルな問題で、頭の中が整理されていれば小学校低学年でも解ける内容です。ただし几帳面さが要求されます。雑だと時間が掛かるし間違いやすいことでしょう。迷うことなく10分以内に正解に辿りつける小学生は少ないのではないでしょうか。おそらく中学受験なさる子供さんであれば普通に解けるのだと思いますけれど。ちなみに我が息子はうるう年の意味を教えた後に、25分かかってやっと正解しています。
※本稿の最後に大雑把な解説を入れておきました。よかったらチャレンジしてみてください。

日付や時間計算は生活に即したテーマ

 子供に時刻の計算を教えるのは意外に難しいものです。問題@Aの論点としては「正午や日付をまたぐ時間数の処理」「月ごとの日数の処理」「年ごとの日数の処理」「うるう年の2月末日の処理」でしょう。
 @の各論点は「電気製品のタイマーを合わせる」とか「燃料があと何日くらい持つ」とか、現実の生活全般に直結するものです。またAの問題が解けるぐらいに教えておかないと、実生活にかかわる法律の条文で権利が発生する期日や期限が理解できません。なので義務教育で当然マスターさせるべき内容ですが、公立小学校の現実はそこまでいっていないと思われます。

義務教育の限界

 足し算引き算がわかったぐらいでは、ちょっと煩雑になっただけでも混乱することでしょう。小学校算数における時刻や日付のテーマは、1年生2年生でサラリと流し単元としては深く突っ込まずに終了しているような気がします。その足りない部分を「速さ・みちのり・時間」など他の単元に潜り込ませ分散させているかのようです。教え方が断片的である分、ある時期につながりを明確にする必要があると思われます。そこを的確に行えば複雑な文章題や物理系の応用問題が楽に解けるようになることでしょう。

12進法・60進法でつまづきやすい

 小学校で時間・時刻のテーマを分散させている理由は12進法・60進法を教えるタイミングが難しいからでしょう。日付の計算も同様と思われます。こちらは30・31・28・29進法並びに365・366進法ということになります。
 子供に算数・数学を教えていて感じるのは連続性のある単元は、統合的・体系的に教えたほうが効果が上がりやすいということです。「時間・時刻」「速さ」「日付」の各単元は正にそれで、学習に連続性を持たせることにより無駄が省けるのと同時に子供自身が理解しやすいようです。ただしそういうことを学校教育で行うのは無理でしょう。個別の家庭学習で行うしかないと思います。我が家で行っている早期教育でのプロセスは以下のとおりです。

指導の方法

準備段階
  1. 幼児期に知育時計で時刻を読ませる。
  2. 加減乗除を教え十進法を十分にマスターさせる。
  3. 普通の時計で時刻が読めるようにする。12進法・60進法を教える。

 ここまでは知育時計で時間の概念を教えるの記事に書きました。これ以降は具体的に問題を解かせながら指導していきました。

速さの計算を終わらせておく

 「速さ=距離/時間」の計算は10進法と60進法・12進法とが重なり合う単元です。時間・時刻計算を習得する前提となるので欠かせません。1時間は1分間が60個集まったもの、1分は1秒が60個集まったもの、時速・分速・秒速の関係等々、様々なアングルから問題をこなしていくうちに「習うよりも慣れろ」で考え方が身に付いていくものです。
 マスターさせるには10進法と60進法と12進法の違いを整理し、「速さ・時間・距離」が駆使できるように繰り返し刷り込んでいくしかないわけです。我が子の場合は3ヶ月ほど色々なアプローチから行いました。徹底的にやった結果、速さの計算は最も得意な分野になりました。当時の苦労を知りたい方は下記をご参照ください。

時間・時刻の計算

 時刻の読み方や60進法・12進法がわかっていることを前提に要領を説明します。

午前午後表記と24時間表記を教える

 まず最初に二つの表記があることを説明して、どちらも使えるようにしておきます。24時間表記の概念がないと、正午をまたぐ計算さらには日付をまたぐ計算ががわかり難くなります。また、午前午後表記で「午前と午後の分岐点は正午と0時の二つがある」ということも理解させないと後々つまづくことになるでしょう。よってこれを最初にしっかりと覚えさせます。
 教え方は実際に時計を用いて説明します。学校が始まる「午前8時=8時」から1時間づつ進ませていき、口頭で「正午=12時」「午後1時=13時」「午後2時=14時」・・・「午後12時=午前0時=24時=0時」まで子供に確認させながら進めていきます。

デジタル表記の時計の読み方を教える。

 小学校は時計や時刻を学習させる際に、アナログ表記をやりたがります。子供は直感的イメージのほうが理解しやすいと考えているのでしょう。定性的な側面から教えるのにはアナログ表記が適しています。しかし定量的な側面からはデジタル表記のほうが断然有利です。特に12進法や60進法で計算するときはデジタル表記でやるべきでしょう。

筆算(足し算引き算)の60進法バージョン

 筆者が子供に教えているやり方(甥にもこの方法を示した)はデジタル表記で時刻を縦に並べ、筆算で解くものです。

「筆算60進法バージョン」の考え方
  • 「時」と「分」を筆算のに見立てる。
  •  デジタル表記が時間の形式で表されることを利用し、「時は時で」「分は分で」それぞれ筆算の「位」に見立てて加算・減算するのです。

  • 繰り上がり繰り下がりは60進法で
  •  繰り上がり繰り下がりは60進法で、の間でやり取りします。
    1時間」⇔「60分

筆算60進法バージョン
わかりやすい例題として最レベ算数小学二年生の最高レベル問題(P32)より引用します。

次の時間を答えなさい。
  • 午後2時10分から午後5時20分まで
  • 【計算】
      5:20
    −2:10
    ────
      3:10
    答.3時間10分

     

  • 午前10時20分から午後8時40分まで
  • 【計算】
    ※時の桁から1時間〈60分〉借りてきて分に加える。
     10:20
      9:80
    −8:40
    ────
      1:40
    答.1時間40分

     

  • 午後4時45分から午後11時10分まで
  • 【計算】
    ※午前と午後にわたるときは24時間表記で計算する。
      16:45
    −11:10
    ─────
       5:35
    答.5時間35分

     

  • 午後9時から次の日の午前2時まで
  • ※24時間表記で計算する。翌午前2時は26時とする。
      26:00
    −21:00
    ─────
       5:00
    答.5時間0分

演習させてみた

 我が子にこの方法でやらせてみたら、前よりも簡単になったと喜んでいました。ちなみに(4)は暗算で解いています。

 

 下の問題〈4番と5番〉では以前教えた別のやり方で解かせた後に、新しい計算の仕方でも正しい答えになることを確かめさせました。別のやり方とは問題〈4番と5番〉を見ていただくとわかると思いますが、11時台(60-40)+12時台(60-0)+13時台(17-0)というように時間帯ごとに出した時間数を合算するものです。これは次項の年月日の計算で「期間の長さを月ごとに求めていく方法」と一緒の考え方です。両方やらせて時刻表記と60進法的計算の考え方とがつながることを狙いました。

 

日付(年月日や期間)の計算

 次にカレンダーなど日付に関する計算法について解説します。この単元では、ある特定の期間の日数を算出する問題が基本となります。

例題1

6月2日から10月25日までの日数を計算せよ。
【解き方】
 30-1+31-0+31-0+30-0+25-0
=29+31+30+25
=115
答.115日

 このときに月ごとに末日が30日とは限らないのでそこがポイントになります。また、日数を計算する際に始まりの日を含めるには「最終日−始まりの日の前日」とする必要があることも論点です。
 子供にはシステマティックに解かせる都合上、丸々一ヶ月間ある月でも単に月数を置くのではなく「最終日−始まりの日の前日」をと書かせております。31-0等々というのはそのためです。この原則を貫かせることで35日前は何月何日かという問いにも、ミスすることなく計算式を立てられるというわけです。

例題2

10月25日の35日前は何月何日か?
【解き方】
35日前は9月の末日が30日であることから、9月X日と仮定してみる。
10月分=25-0
9月分=30-(X-1)
式: 30-(X-1)+25-0=35
   -X+1+30+25=35
   -X=35-56
   X=21
答.9月21日
※万一、仮定がはずれて「Xが負の数」になってしまった場合でも、遡った月の日数を単純に加えていけば正解に辿りつけます。

 

例題3

2011年3月11日の1000日前の日付を答えよ。
【解き方】

  1. 該当する年と、各年の日数を求める
  2. 1000/365=2 余り270日
    2008年某月X日〜2011年3月11日と仮定する。
    うるう年〈4の倍数〉は2008年のみ。
    日数は・・・
    2011年分=31-0+28-0+11-0=60
    2010年分=365
    2009年分=365
    小計(2009〜2011)=60+365×2=790日
    よって2008年分=1000-790=210日

     

  3. 該当する月を求める
  4. 210/30=7なので、2008年6月X日と仮定する。
    7月〜12月で、
    31日間の月は、12,10,8,7の4ヶ月
    30日間の月は、11,9,6の3ヶ月
    30-(X-1)+(30-0)×2+(31-0)×4=210
    -X+30+1+60+124=210
    -X=210-215
    X=5
    答.2008年6月5日

 

冒頭のオリジナル問題について大雑把な解説

@の問題
A
(365-31-28-14+365×75+19+31+28+31+17)×24=27793×24=667032時間
B
9時間7分+8時間12分=17時間19分
A+B=667049時間19分
答.667049時間19分

 

Aの問題
50歳の誕生日は1929.3.14
1928年はうるう年
1929年は普通の年
1929年分=31+28+14=73日
1928年分=380-73=307日
307/30=10 余り7
31日 3,5,7,8,10,12
30日 1,4,6,9,11
29日 2
31×6+30×4+29-(Y-1)=307
336-Y=307
Y=29
答.1928年2月29日

日付や時刻の計算は、簡単そうに見えて意外に手こずる問題だと思いませんか?

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