ミスの少ない計算方法
因数分解は二次以上の方程式や三角関数等々色々な場面でお目にかかる基本的な単元です。これを乗法公式とセットにして教えようかとも考えましたが、連立方程式を早めに教えたかったので後回しにしました。因数分解を終えて即二次方程式という展開が適切と考えたからです。
因数分解は乗法公式がしっかり頭に入っていれば、システマティックに解くだけなので難しいことはありません。ただ、素数に対する習熟度や計算慣れによる数字の組合せに対する勘がものをいうゲーム的な要素があるので、毎日繰り返し反復練習している子供にとっては面白みのある単元ではないかと思います。
共通因数で括り出すやり方
全ての項に共通する因数をカッコの外に括り出して掛け算の形にするやり方。
2ab+ac=a(2b+c)のような形ですね。項の数が多くなるとけっこう頭の体操になります。√の足し算引き算を復習するときにも対比しながらセットで行うと相乗効果で理解が深まります。
乗法公式を使うやり方
乗法公式を教える際に因数分解を意識して行いました(参照記事)。因数分解を教える時には乗法公式を毎回丁寧に解説し、乗法公式を応用する考え方を定着させようとしました。
(a+b)は足すのか引くのかという判断
私が中学生の頃は、勘に頼ってやっていたため時間が掛かっていた記憶がありました。そこで息子にはこれをシステマティックに判断できるようにしてやりました。計算が速くなるだけでなくミスも減ります。
x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)において
左辺のabの符号が正のときはaとbが同じ符号ということ。(a+b)は絶対値同士の和になる。
- (a+b)の符号が正であればaとbは正である。
- (a+b)の符号が正であればaとbは負である。
例:x^2+5x+6=(x+3)(x+2)
例:x^2-5x+6=(x-3)(x-2)
左辺のabの符号が負のときはaとbが異なる符号ということ。(a+b)は絶対値同士の差になる。
- (a+b)の符号が正であれば、絶対値が大きい数のほうが正である。
- (a+b)の符号が負であれば、絶対値が大きい数のほうが負である。
例:x^2+3x-10=(x+5)(x-2)
例:x^2-3x-10=(x-5)(x+2)
aとbの探し方
まずは積からリサーチする。
よく考えればわかることですが、a+bよりもabのほうが数字の組合せパターンが少ないです。よってabの組合せを調べ、a+bに合致するか確かめれば早くみつけられることになります。
これを逆に和や差から先にリサーチすることは至難の業です^ ^
例:x^2+12x+32
- ab=32の組合せ
- a+b=12の組合せ
- a-b=12の組合せ
1×32 , 2×16 , 4×8 ⇒3通り
1+11 , 2+10 , 3+9 , 4+8 , 5+7 ,
6+6 ⇒6通り
… , 10012-10000 , … ,
13-1 ⇒∞通り
「x^2+2ax+a^2=(x+a)^2」 と 「x^2-2ax+a^2=(x-a)^2」
この2つの公式は因数分解ではあまり役に立たない印象を受けます。10個ぐらい問題を解いてみるとわかりますが、特殊な例をわざわざ優先させて考えている時点で時間のロスになります。結果的に「和が2倍&積が2乗」であれば「じゃあ、あれだな。」と^2を付けるだけの話です。
x^2-a^2=(x+a)(x-a)
xやaに係数を付けたり(多項式)を挿入する問題をやるようにしています。この公式は将来学ぶ数学や物理の色々な場面で登場するので、いろいろな問題に触れておくとよいかもしれません。