つまづかない教え方
分数とは何かを教える。
ケーキの喩え
1/2とは2個に分けたケーキが1個あるということ。2/3とは3個に分けたケーキが2個あるということ。そういう表現がケーキだと図に書きやすいしイメージを伝えやすいのです。
その後の足し算引き算においても、「3/5とは5つに分けたケーキが3個ある」こと。3/5と2/5を足すのは簡単だけど、3/4と2/5を足すのは「そのままの分母ではできない」といったことを図で説明するのにケーキだとやりやすいです。
整数を分数で表すとどうなるか
これまで整数に親しんできた子が、分数の世界に入るのはちょっとしたハードルがあります。そこで整数と分数の関係を教える必要があります。
具体的には1=1/1とか2=2/1というように、表現の仕方が違っているだけということを説明します。このときにケーキの喩えが生きてくるのです。1というのは1個に分けたケーキが1個あるということ。2というのは1個に分けたケーキが2個あるということ。という具合です。
帯分数・仮分数を教える
算数の世界では帯分数の計算が登場しますけれど、数学ではあまり意味のない表現です。なので家庭教育の場ではスルーしようかと思ったのですが、一応教えてみたら思わぬ副次効果がありました。
その効果とは分数と割り算の関係性を教えられることです。例えば17/5を帯分数で表すとしましょう。そのためには分子を分母で割りますよね。
17÷5=3 余り2
- 整数が商(6)
- 分母が割る数(5)
- 分子が余り(2)
2
3 ―
5
これをケーキの喩えで説明すると・・・
丸いケーキを5つに切り分けた欠片が17個ある。
整数:丸いケーキの数
分母:丸いケーキを1個作るのに必要な欠片の数
分子:余った欠片の数
子供にこの意味を教えると、算数が観念の世界からリアルな事象として理解しやすくなるような気がします。
仮分数と帯分数をセットで教える。
仮分数から帯分数に変換させたついでに、帯分数から仮分数に再変換させるトレーニングをセットで行います。プロセスを教える時に連続性を持たせるとより理解が進むので、そのようにしております。
帯分数⇒仮分数
分母:帯分数と同じ分母
分子:分母×整数+分子
分数の足し算引き算
通分の意味について
分数の足し算引き算では「通分」が重要ポイントになります。すなわち「分母が異なると足し算引き算ができない⇒分母を同じにする」ということ。「分母を同じにするために分母同士を掛ける」ということだけを教えます。初歩の段階では理由を説明せずにルールだけを教え込み、とりあえず計算できるようにしてしまうことが近道です。通分の詳しい意味は、分数の割り算掛け算の意味が分かるようになってから説明するとよいですよ。
約分も後回し
約分も分数の掛け算割り算が習熟してから教えます。足し算引き算の段階で教えるのは覚えることがいっぱいになりすぎるので避けたほうが良いでしょう。
分数の掛け算割り算&約分
プロセスを教え徐々に深化させる
分数の掛け算と割り算はセットで教えます。三段階でモノにしていきます。
- 第一段階
- 第二段階
- 第三段階
「分母同士を掛ける&分子同士を掛ける」、割り算は「÷を×にして分数を逆立ちさせる」というプロセスだけを教えます。
第一段階は楽々クリアできるようになったら、約分を教えます。始めは九九を覚えていればできるもののみで問題を構成します。
第二段階が楽々クリアできるようになったら、九九の暗記のみでは時間が掛かる問題を徐々に教えていきます。
例:33/22、250/500、96/32、12/144 etc...
第三段階をやることによって、計算能力が格段に向上します。12/144を2の段(3の段)で約分していくと3ステップ掛かりますが、12×12=144を覚えてしまえば1ステップで済むので本人も喜びます。
下記の教え方は必須です。
- 1の位が「0,2,6,4,8」ならどんな数でも2で割れる。
- 1の位が「0,5」ならどんな数でも5で割れる。
- わからないときは「2,3,5,7」のいずれかで約分する。
筆算することも大事
瞬時に暗算できない場合があります。そのときに「わからないときは筆算しなさい」と伝えます。筆算で何度も解いていくうちに、暗算の方法を教えやすくなっていきます。