一ヶ月半かけて年長の幼児に割り算をマスターさせました。子供に割り算を教えるには、足し算・引き算・掛け算が相当程度習熟していないとつまづくことと思われます。「足し算・引き算・掛け算の集大成」が割り算だとも言えるでしょう。
割り算の意味を教えるには、掛け算の意味がわかるようにしないといけません。そのためにとった方法は「お菓子を縦横に並べさせる」ことです。お菓子を3行×4列=12個並べさせて「これが3×4だよ」とやるわけです。同様にして4×3=12や3×5=15等々似たような例をたくさん示します。
その上で「○○個のお菓子を△人で分けると余るお菓子は何個になるか」「何個づつ分けられるか」を数日間繰り返し行います。そのときに3÷5のような割れない(答が0で余りのみになる)計算も示すことが重要です。また「0個あるものは何人で分けても、各自の取り分は0個になる」ことも教えます。これらが理解できたところで筆算の習得にチャレンジさせるのです。
例えば67÷8の計算で瞬時に答が8余り3とわかるには訓練が必要です。私がとった方法は掛け算(筆算)を毎日解かせながら、割り算を少しづつ習得させていきました。
瞬時に言えるようになるための訓練として上記の例であれば「8の段を8×1から順番に言わせる」⇒「67より大きくなったら(つまり9)、その前の数(つまり8)が答」という手順を繰り返し刷り込みました。この作業を何百回も行ううちに「8×1から始めなくても」「8×9まで言わなくても」正解を答えられるようになりました。
筆算を実際にやってみせて「割る数・割られる数・答・あまり」がどの部分になるのか把握させます。使う用語を共有させることで教えやすくなります。
365÷3の筆算を解かせるとします。このときに割られる数の百の位が3で、割る数(3)以上だから3÷3からスタートできます。これが265÷3だと26÷3から始めないといけません。この判断をさせるには「以上」という概念を教える必要がありますが、お菓子の例で「割れる or 割れない」が身に付いていれば感覚的に判定できるようになっていることでしょう。また305÷3のような途中に「0の段」を使う計算過程も違和感なく呑み込めることでしょう。
次のキーワードを叩き込む。
ちょうどよい九九を探す。
↓
引く
↓
次の位を下ろす。
(※繰り返し)
1の位まで終わったら余りを出す。
847÷32の筆算を解かせるとします。割り算に習熟していれば3を立てればいいのか2を立てればいいのか見当がつきますけれど…。我が子のような年長児がその域に達するにはかなりの練習を要することでしょう。何を立てていいものやら皆目見当がつかない様子でした。そこでシステマティックに解かせるためにある工夫を施しました。
847÷32であれば8÷3をまずやらせて見当をつけさせます。この場合は2になりますね。この方法で掛ける数を立てるとその後の変更では、数が大きくなることはあっても小さくなることはありません。大きければ立てた数を1減らすというルールの下に、直感ではなく「全てをプロセス化」できるわけです。
この方法の弱点は左端の位の隣の位の数が大きいと、最大二回やり直さないといけなくなることです。つまり消しゴムで消すスピード&要領が求められます。逆に「手先の器用さを養う」という意味では良い機会と言えるかもしれませんね。一番下の参考図をご覧いただけば、かなり四苦八苦していることがお分かりいただけることでしょう。
我が子に合ったプロセスを私自身で組み立てたので、参考書やドリルは使いませんでした。