特徴が大きく異なる「二つの国語辞典」
自分自身の小学校時代を振り返ると、「国語辞典はあまり開かなかったなあ」という印象でした。
我が子には辞書引きが、習慣化するように躾けています。
当記事は子供に買い与える国語辞典が、より有効に活用されることを願って書いたものです。
国語辞典選びの参考になれば、幸いです。
家庭用と小学校用の使い分けを考える。
長男が小学3年生に進級すると、国語辞典を用意するよう指示がありました。
既に国語辞典を使って学習させておりましたが、学校に置きっぱなしにしてよいということなので新たに一冊購入することにしました。
二冊目を購入するにあたって考えたのが、「家庭用と小学校用の使い分け」という視点でした。
両者の概要:内容に優劣はないが・・・
結論から言うと、
家庭用には「小学新国語辞典(光村図書出版)」、小学校用は「新レインボー小学国語辞典」を採用しました。
両者は小学生対象では、定番の国語辞典です。
語意の解釈や表現につき、内容に優劣は感じられませんでした。
その反面、引いた内容からさらに発展させ「ついでに学習させる」手法や内容が、大きく違っておりました。
両者の特徴
- 新レインボー小学国語辞典(→本稿での略称:レインボー)
- 小学新国語辞典(光村の辞典)(→本稿での略称:光村)
カラーを意識した「図鑑的要素」に加え、「遊び的要素」が散りばめられている。
中学を視野に入れて、ちょっと背伸びした内容まで盛り込まれている。図表や漫画の使い方が上手い。
本稿では上記の相違点を中心に解説し、小学校用・家庭用の向き不向きについて考えてみようと思います。
小学校用は「レインボー」を採用
小学校の授業では指導要領が中心であり、実際のところ決められた時間数をこなすので精一杯でしょう。国語辞典を開く頻度が少ないと考えられます。
開いたところで、本人の理解度に合わせて発展知識まで指導する場面もないと思われます。
国語辞典を開く数少ないチャンスに、視覚から語意を鮮明に焼きつけることが必要と考えました。
→小学校用は、オールカラーで定評のある「レインボー」を採用。
家庭用は「光村」を採用
長男の場合は国語辞典を開く習慣が既に身についております。
家庭では日頃から語意の他に、発展知識まで習得させる指導をしております。
→家庭用は既に、内容充実で満足している「光村」を採用。
以下は詳細な解説(比較)です。
新レインボー小学国語辞典(ワイド版)
ワイド版と小型版の比較
小型版(1091g:197×141×49mm)よりも、ワイド版(1418g:224×162×52mm)のほうが、文字が読みやすく挿し絵も大きめです。
同じクラスに小型版を持っているお友達が数人いるそうです。「ワイド版が見やすくてよかったのになあ」と言っている子もいるとか…。
筆者も授業参観のあとで長男のお友達の一人から、実際に見せてもらいました。
小型版は縮小されている分、カラーの強みがワイド版よりも削がれているというか・・・
全カラーのインパクトが、やや薄まっている気がしました。
参照:小型版
持ち運びを考えるのなら小型版もいいですが、やはりワイド版のほうが学習しやすいと思います。
長男の小学校は辞書は置きっぱなしでいいので、あらためて「ワイド版を選んで正解だった」と実感しています。
以下、ワイド版の中身について紹介してまいります。
ことわざ・慣用句
週刊誌のように、巻頭に大きな写真のページが登場します。
今までの国語辞典のイメージにない、型破りな手法ですね。
ページの概観
国語辞典らしさが、しっかりと残っています。
写真やイラストの挿絵は適材適所に配置。うるさい感じがしません。
挿し絵
カラーでなければ表現できないところを重点に、ピッタリの写真やイラストが掲載されております。
例えばトサカの赤い色や質感。二色刷りでは出せない、鶏の雰囲気まで伝わってきます。
光を黄色で描き直感でわかりやすく。10種類の雲の外観を写実。陣羽織の柄の目立つ色彩(戦場での活躍をアピールした)などなど、カラーならではの表現が秀逸です。
同音異義語の使い分け
国語辞典でよく見かける「同音異義語の使い分け」です。
同じ読み方でも使われる意味が違う語句について、必要に応じて整理されています。
言葉博士になろう
言葉の用い方など国語に関する知識を、多岐にわたって解説しています。
ことば遊び
国語辞典の一番下にある余白に、ことわざパロディや回文など楽しいコーナーがあります。
同じ場所を光村では、もっと真面目っぽく使っているので対照的だと思いました。
ことば選びの窓
類義語のコーナーです。見開き1ページで構成されています。
金田一先生のことばの教室
監修者である金田一先生が、直々に読者の皆様に発信しているコラムのコーナーです。
金田一先生と言えば、テレビの露出もある有名人ですね。国語辞典を開くのが楽しみになる一つの趣向でしょう。
資料目次
ここからは巻末の資料となります。下は資料の目次です。
ミニ漢字辞典
国語辞典と漢字辞典と両方を持ち歩くのは、重たいですよね。
光村にも漢字調べへの配慮がされていますが、レインボーはシンプルに巻末に分けた点でスッキリ扱いやすいです。
ミニ漢字辞典だけで考えるなら、携帯版よりもワイド版のほうが圧倒的に見やすく感じます。
小学校に置いておける場合で、漢字辞典を兼ねたいのであれば、レインボーのワイドで決まりです。
百人一首
百人一首のコーナーです。これは百人一首をゲームとして究めたい方を、対象にしているのでしょうか。
アルファベット略語集
国語辞典は五十音順に掲載されているので、アルファベットの言葉はなじみません。それで掲載を別口で分けたのだと思われます。
付録
付録は次のとおり、お得感があります。特に「国語辞典の使い方」はおススメ。
国語の教科書でも一つの単元として登場しますが、この付録のほうが頭に入りやすいと思います。
漢字表は各学年別に、3枚(裏表)でまとめられております。
光村図書国語辞典
二色刷りという伝統的なスタイルの、国語辞典です。
見やすさやわかりやすさで、レインボー(多色刷り)に見劣りすることはありません。
コストを中身にかけているような安定感です。
奇をてらわずに、中身を充実させたような印象を受けました。
ページの概観
見やすく読みやすく、内容も平易過ぎず難しすぎずちょうど良い仕上がりです。
この安定かつ無難な点が、光村の持ち味だと思います。
漢字
漢字辞典が国語辞典とドッキングしているスタイルです。
長男が家庭で学習する際は、語意の他に漢字の書き順や類義語・対義語等々調べさせるので好都合です。
調べた内容からさらに深い学習に発展させるのに、光村の国語辞典は適していると思います。
使い分け(表)
言葉の使い分けが、必要に応じて表にまとめられています。わかりやすいです。
使い分け(マンガ)
マンガ形式で「言葉の使い分け」を、まとめたコーナーがたくさんあります。
いずれもイメージが湧きやすいので、深い理解に役立つと思います。
挿し絵
よく考えられた構図が多く、二色刷りを効果的に用いていてわかりやすいです。
見開き2ページをフル活用した挿し絵もあります。素晴らしいアイデアが、ふんだんに盛り込まれた辞典だと思います。
コラム
読みごたえがある秀逸なコラムです。子供には「コラムが出てきたら必ず読むように」と、指導しております。
ことわざのイラスト
ことわざが目立つイラストで掲載されています。ことわざの意味は、該当箇所に載っています。
□に入るのはどっち
ページ見開きの左下の余白。レインボーにおける余白よりも学習っぽいので、子供に薦めやすいです。
クイズ形式で、□に入る言葉を答えます。とてもためになる内容ばかり。
真剣に学習する場面が多い家庭ならば、光村のほうが実力がつくと思います。
巻末付録索引
付録(巻末の資料)の索引です。総じてレインボーの巻末資料よりも、実用的な印象ですね。
最重要語索引
小5になったら、わからない言葉がないように自分でチェックさせようと考えております。
中学校で学習する漢字
小学校で習う漢字はできて当たり前です。中学校で習う漢字がわかれば、その後の受験を見据えた学習がしやすくなることでしょう。
季語大集合
常識や教養として、季語に触れておいたほうがよいと考えます。
古典の世界へ
小学生のうちから古典に触れて、親しんでおくべきと考えます。
尊敬語・謙譲語
マンガを適宜使って、イメージを伝えながら解説しています。
まとめ・子供本人の感想
レインボーが一回り大きいですね。
両者を並べて比べてみると、けっこうな違いに気が付きますけれど…
普段は全く気にならずに、使っているようでした。
縦・横は違っても、厚さは2mm(実測)しか違わないからでしょうか。
子供にこの画像を見せたら、「え、そうなの?!」と意外そうでした。
まとめ
家庭学習に重きを置く当家としては、次のように考えました。
- 小学校用には「新レインボー小学国語辞典ワイド版」
- 家庭用には「光村図書国語辞典」
国語の授業における活用のしやすさを重視。
理由:見やすい。視覚に引いた語句が飛び込んできやすい。
学習書としての効果を重視。
理由:引いた語句から、さらに発展した学習につないであげやすい。
小学校で使ってるほうはカラーだから見やすいし、みんなと同じだから気が楽だよ。家で使っているほうは、わからないところを調べるというよりも読んでいるんだ。
小学校用に
家庭用に